日本家屋の伝統的な造りである平屋。そして、古き良き日本の美と洗練された現代の美を融合した和モダン。今回は、この二つの要素を掛け合わせた「和モダンな平屋」について解説していきます。外観、内装、間取り、それぞれのポイントを踏まえて、癒しの空間を作っていきましょう。
和モダンな平屋とは
和モダンの平屋は、日本の伝統美と現代の機能美を掛け合わせた住宅です。シンプルで飽きのこないデザインが特徴で、間取りに無駄がなく、内観外観ともに直線の美しさが際立ちます。また、木材や珪藻土、漆喰といった天然素材を使用していて、落ち着いた雰囲気の中に自然の温もりを感じられます。
和モダンな平屋の外観のポイント
シルエットはシンプルに
外観のポイントの一つは、シルエットをシンプルにするということです。余分な装飾をなくし、凹凸の少ない直線的なラインを意識してデザインすると良いでしょう。また、平屋の屋根は面積が大きいため、見た目の印象に大きく影響します。切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根といった形状を選ぶと良いでしょう。
和風建築のパーツを取り入れる
取り入れるべき和風建築のパーツの例としては、引き戸、格子、瓦、漆喰壁などが挙げられます。日本庭園を意識して植物を植えたり、砂利や石畳を敷いたりしても良いでしょう。ただし、和の要素に偏りすぎないように注意が必要です。取り入れるパーツを減らしたり、コンクリート、金属、ガラスといった無機質な素材を使用したりして、モダンな要素とのバランスを取りましょう。
和モダンな平屋の内装のポイント
和室の要素を取り入れる
内装も和とモダンのバランスが大切です。取り入れるべき和室の要素の例は、畳、ふすま、障子、格子など。梁を大胆に見せたり、和紙や竹などの和素材を使ったインテリアを置いたりしても良いでしょう。畳敷きの和室か、フローリングの洋室か、ベースになる部屋のテイストを考慮しながら部分的に和室の要素を取り入れるようにしましょう。
ロースタイルのインテリアを配置する
和モダンな部屋には、ロースタイルのインテリアがおすすめです。現代のライフスタイルでは、背の高い椅子とテーブルを用いるのが一般的ですが、和室では床座が基本となります。ローテーブルや座椅子、クッション、カーペットなど、背の低い家具を配置することで部屋全体の重心が下がり、空間に統一感と開放感が生まれます。
和モダンな平屋の間取りのポイント
空間を広く使う
空間が広ければ、シンプルですっきりとした印象を与えられるでしょう。一般的な2階建て住宅は天井の高さに制限がありますが、平屋は2階部分がないため天井を高く作ることができます。デザインの自由度も高く、勾配天井にすることも可能です。また、平屋は全ての部屋がワンフロアに集約されているため、仕切りを取り払うことで大空間を生み出すことができます。
中庭や縁側を設ける
和モダンな平屋に中庭や縁側を設けるのも良いでしょう。中庭は日当たりや風通しが良く、開放感も抜群です。縁側は日本建築の伝統的な間取りであるため、縁側を作ることによって必然的に和の要素が加わります。モダンとのバランスを考えるのであれば、縁側をウッドデッキにするのがおすすめです。中庭のある平屋の形には、ロの字型、コの字型、L字型があり、それぞれの特徴を踏まえて選びましょう。
和モダンな平屋のおしゃれな実例を紹介
木製サッシと土間のある大空間
こちらの事例は、間仕切りのない34畳もの大空間を持つ住宅です。玄関土間、LDK、そして子ども部屋が一部屋につながっていて、思わず走り出したくなるほどの開放感。勾配天井となっているため、縦方向にも広がりを感じます。また、大開口の木製サッシや、玄関土間、そして現しの柱と梁が、シンプルかつ洗練された大空間に和のアクセントを加えています。
畳スペースとつながったダイニング
こちらは、ダイニングが畳スペースにフラットにつながっていて、和洋折衷の空間となっています。モダン寄りでありながらも線が細いデザインの家具が使われており、和のテイストにもよく馴染んでいます。中庭から明るい光を取り込む大開口と、LDKをつなぐ土間空間も和モダンを構成する大事な要素です。
木の温もりに包まれた癒しのリビング
フローリングの木目が美しい、こちらのリビング。外は板張りの塀に囲まれ、その内側に小さな庭が設けられています。家の中にいながら、大自然の中で過ごしているような安らぎを感じられます。床には座卓と座椅子を配置。家具の重心が低く、天井が高く感じられるのは、まさに和モダン空間の特徴と言えるでしょう。掘りごたつになっているため、足を伸ばしてくつろげるのも魅力です。
まとめ
和モダンな平屋を作るには、伝統的な和の要素と、洗練されたモダンな要素のバランス配分が何よりも肝心です。また、開放的な空間づくりの重要性もご紹介しました。これらのポイントを参考に、あなただけの特別な住まいを作ってくださいね。