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デザイン・性能・保証に優れた重量木骨の家とは?

現し(あらわし)ってどんな技法?梁や柱を見せる建築設計の特徴と実例

更新日:2024.8.8 作成日:2024.8.8
現し
皆さんは「現し」という言葉をご存知でしょうか。梁や柱といった構造体をむき出しにする技法で、デザイン性の高さや、コストパフォーマンスの良さなど、さまざまな理由から人気を集めています。今回は現しをテーマに、メリットやデメリット、おしゃれに演出するためのポイントについて詳しくご紹介していきます。


現し(あらわし)とは


現しの梁のある広い土間空間
現しとは、構造体を露出させる仕上げのことを言います。梁や柱は本来ならば壁紙や天井板などの仕上げ材で覆われますが、これらの構造体をあえて見せることによって、空間をダイナミックに演出することができます。化粧梁や化粧柱も現しの一種ですが、これらは構造上必要のない梁や柱を装飾のためだけに取り付ける手法を指します。


現しのメリット


空間のアクセントになる

現しの梁がアクセントの吹き抜け
現しは空間に緩急をつけて、間延びした空間を引き締めます。また、露出させる構造体の場所や種類によって、部屋の印象をガラリと変えることができます。例えば、木造の場合は木の素朴な温もりをもたらし、鉄筋の場合は無骨でマニッシュな雰囲気を演出します。


開放感が生まれる

勾配天井の現しの梁の見えるリビング
梁現しの天井は、天井材を張らない分だけ天井が高くなり、開放的な空間を作ることができます。壁を取り払って柱を現しにすれば、空間を横方向に広げることも可能です。空間を遮るものが少ないため視線が抜け、風通しや採光の面でもメリットをもたらします。


資材を節約できる

現しの梁と柱のある開放的な空間
現しにする場合はクロスや石膏ボードといった仕上げ材の費用を節約でき、天井材を張るための受け材や吊り木などもコストカットできます。仕上げ作業がない分、工期を短縮でき、全体の建築コストを抑えることにもつながります。


現しのデメリット


断熱性や防音性の低下

構造材を現しにして、広く見せたLDK
断熱材は通常、構造材と仕上げ材の間に張られますが、現しの場合は張ることができないため断熱効果が下がり、遮音効果も薄れます。解決策としては構造材の外側に断熱材を張る外断熱がありますが、コストが高いのが難点といえます。


定期的なメンテナンスが必要

現しの梁が存在感のあるオープンな空間
現しは構造体がむき出しであるため、常に空気中の汚れや湿気にさらされた状態になっています。仕上げ材で覆っている場合と比べて劣化が早くなる可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。現しの梁は上部に埃が溜まりやすく、掃除が難しくなりますが、梁と天井をピッタリくっつけることで対処できるでしょう。


現しでおしゃれな空間を作るためのポイント


部屋や家具とテイストを合わせる

現しの梁ある木の温もりのあるダイニング
構造材を見せるだけでもおしゃれな空間を作ることができますが、部屋の内装や家具のテイストと合わせて考えると良いでしょう。壁や床と同じ素材のものを選んだり、場合によっては塗装したりして、あなた好みの空間を作りましょう。家具に関しても、構造材と同じ素材で造作することもできます。


梁に合わせて照明を配置する

現しの梁の見えるおしゃれで開放的な吹抜け
空間をおしゃれに見せるなら、照明の配置にもこだわりましょう。構造材をライトアップするように置いても良いですし、構造体と照明を一体化させて空間をすっきり見せたり、梁から吊るしたりしても良いでしょう。照明の位置が悪いと現しの構造体に光を遮られてしまうので、ベストなポジションに配置しましょう。


梁に植物やハンモックなどを吊るす

現しの梁にハンモックをかけたLDK
むき出しの梁に植物やハンモックなどを吊るすのもおすすめです。木の現しと植物は相性が抜群で、部屋全体をナチュラルな雰囲気に演出します。梁が露出しているため、ハンモックやブランコなども吊り下げやすくなっています。ただ、ものを吊り下げる際は梁にかかる重量を考慮する必要があるため、あらかじめ建築会社に相談しておきましょう。


現しの梁や柱が美しい住宅アイデア4選


梁と柱で空間を緩やかにゾーニング

現しの梁がアクセントの小上がりの天井
こちらの事例では、ナチュラルな木の現しと落ち着いた白色の壁紙によって、優しい雰囲気のLDKを作り上げています。小上がりの畳スペースは、むき出しの柱と梁で空間を緩やかにゾーニングすることで、開放的な印象を損ねることなく特別感を演出しています。


木造の魅力を最大限生かす住空間

柱と梁を現しとした木造の魅力を生かす空間
こちらの事例は、梁と柱をすべて現しとする大胆な設計。節や木目が室内を表情豊かに彩っています。壁と床には地場産材のスギが使われ、スキップフロアにはコルクフローリングが使われています。木の現しも含めて、素朴な素材感を楽しめる空間となっています。


梁をリズミカルに配置したリビング

現しの梁でインパクトのある大空間を演出
勾配天井に沿って幾重にも連なる登り梁が印象的なLDK。大きな開口部には太い梁が架けられていて、空間をダイナミックに演出しています。梁や内装はダークカラーで統一されているため、インパクトがありながらも落ち着いた雰囲気を作り上げています。


屋根板を外して広々とした天井に

現しの梁がインテリアのようなLDK
この住宅が建つ地域は高さ制限が厳しく、少しでも天井高を取るために現しを選んだとのこと。その結果、広がりのあるリビングを実現することができました。深い色味のこの梁は、実は家具の色に合わせて塗装しており、落ち着いた大人の雰囲気を演出しています。


まとめ

今回は、構造を現しにすることで個性的な空間を演出できることをご紹介しました。現しという言葉に初めはピンと来なかったという方も、事例を見てイメージを膨らませることができたのではないでしょうか。今回ご紹介した内容を参考に、ダイナミックかつ快適な現しの家を作ってみてくださいね。

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