【実例紹介】玄関土間を作る時の注意ポイント、把握すべきデメリット

古い日本家屋でよく見る土間は、今また見直されてきています。その使い方もこれまでの固定概念にとらわれず、とても自由で伸びやかです。もしも使い道が固定されていないスペースを手に入れたとしたら、何をしてみたいですか。まさしく自由な空間、それが土間です。土間のメリット・デメリットをご説明します。
【実例紹介】玄関土間を作る時の注意ポイント、把握すべきデメリットのインデックス
1.土間を作るとこんな風に楽しめる
土間は家の内部にありながら屋外ともいうべき「しなやかな場所」です。その柔軟な空間は、暮らしに変化をもたらしてくれますが、具体的にどのように使えるのでしょうか。
1-1.自転車やバイク、ベビーカーなど小型の乗り物の収納場所に
自転車・バイクやベビーカーを持っておられる方は、どこに置いていらっしゃるでしょうか。庭やカーポート、狭くなるのを覚悟の上で玄関にしまっていらっしゃるのではないでしょうか。土間があれば、これらのものを心置きなく屋内にしまうことができます。これなら盗難や風雨の心配がありませんし、必要とあらば室内で手入れもできます。
趣味と実用の場となってくれるのが土間です。
1-2.ストーブ置き場に
暖房器具にストーブ、もしくは薪ストーブを使うときにも土間はとても便利です。これらの暖房器具には灯油もしくは薪といった燃料が必要なので、室内を汚すことなく燃料の保管場所を作ることができます。
また、家具やカーテンなど可燃性の高いものから少し離したところにストーブ・薪ストーブを設置することで、安全面にも配慮できます。
1-3.分別ゴミの仮置き場に
家事を担う主婦(主夫)を悩ませることのひとつに、次の収集日までに分別ゴミをどう保管するか、というものがあります。大家族ともなれば量は多くなりますし、安易に庭に放置すると美観の点でも心配があり、さらには放火などいたずらの対象にならないかと不安になります。このような点でも、土間は実用的です。
1-4.お子様を遊ばせる場に
お子様を遊ばせる場は屋内ならリビング、屋外ならば庭を思い浮かべます。しかし、目の離せない小さなうちはリビングしか選択肢がありません。土間があれば庭代わりとなりますので、安全に、屋外でできる遊びに近いことができます。
また、雨の日にも外遊びとほぼ同等の遊び方ができますので、親御さんにとっての心配事がひとつ減ります。
1-5.部屋の外に位置するのに暖かい・涼しい
土間は、あたかも屋外のような使い方ができますが、実際は屋内にあります。そのため、屋外よりも夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。色々な作業を行うときも、さほど気温差を感じなくても済みますし、雨に濡れる心配もありません。
1-6.家庭菜園やガーデニングの趣味をお持ちの方にも
家庭菜園やガーデニングは、「土」とは切っても切れない関係にあります。必要な道具や資材には土がついてしまいますので、これらを保管する場として土間があるととても便利です。また、プランターや鉢を使ってガーデニングを楽しんでいる方にとって必要なのが、台風など風が強いときにそれらをしまう場所ですが、土間でしたら土がついたものを屋内に持ち込む際にも気にせずに済みます。
2.土間のある家の間取りで注意しなければならないこと
上で触れたとおり、趣味や実用の面でメリットの大きな土間ですが、上手な間取りでよりそのメリットを高めることができます。いくつかのケースを考えてみましょう。
2-1.自転車やバイク、ベビーカーを持ち込みたいとき
玄関スペースを広げ、土間にすることでスムーズにこれらの小型の乗り物を屋内に持ち込むことができます。出かけるときの身支度、帰宅した後の荷物の持ち運びを行うため、リビングなどの居室そばに土間があれば一連の動作がとても楽になります。レインコートなどの脱ぎ着も屋内でできますので、雨の日のお出かけの手間が大幅に低減できます。
2-2.ストーブ置き場にするとき
家全体にしっかり断熱を施し、土間部分も「ほぼ室内」というつくりにした上で、リビングの延長上として使用できるよう配置すれば、ストーブ置き場にぴったりの土間になります。リビングと同じ床の高さにする必要がありますので、土間に相当する部分を、掃除しやすく汚れに強い床材にすれば、灯油や薪をストックしておくのにも困りません。
2-3.家庭菜園や家事に便利な場所にするとき
キッチンに近い場所に土間を設置すれば、採れたて野菜やゴミの仮置きの場所として便利に使えます。キッチンの床面から一段低くし、掃除がしやすいような工夫をしておけば、土やゴミの汚れを心配することもありませんし、庭仕事の道具を置いておく場所にもなります。この場合、キッチンから近いだけでなく、庭ないしは勝手口に近い場所に土間を配置すれば、庭仕事や家事の一連の動作をスムーズに行うことができます。
2-4.【どのケースにも共通】引き戸を準備する
土間は家の外部と居室との間に存在する「柔軟な」空間で、この空間を隔てるものとして、オススメなのが、引き戸です。
可能であれば、上吊タイプの引き戸はいかがでしょうか。足元の引っかかりがなくなりますし、気候のよい時期に開け放すとき、とてもすっきりと見えます。居室と高さの差をつける場合は、大きな差をつけないようにすればどんな世代の方でも使いやすくて安心できます。
3.玄関を土間にすることで快適に暮らせる実例
玄関を土間にすれば、生活が快適に便利になります。一般的なつくりの玄関の場合に周りに物が集まってしまってしまうことを経験されてはいないでしょうか。これを解消するために、玄関を土間にすることはとても有益です。
3-1.土間収納を設ければ、ベビーカーや子どものおもちゃ、庭のお手入れ用品の出し入れが楽に
動線に物が集まりやすいのは致し方ないことです。この現象は、家の外と中を結ぶ玄関で顕著です。
玄関を土間にし、その土間に接するように土間収納を作ってみるのはいかがでしょうか。ベビーカーやお子さんが外で遊ぶおもちゃ、ガーデニング用品をしまっておけますので、次の行動に必要な道具がスムーズに出し入れでき、とても便利です。
3-2.土間収納を勝手口代わりにして、いつもきれいな玄関をキープ
玄関は、靴やコートといった体に身につけるものが切り替わる場所です。家族が多い場合、玄関が家族の靴や衣服、雨具などであふれてしまうこともあるでしょう。このようなときも、玄関脇に土間をつくり、玄関から見えづらい工夫をした土間収納を設置すれば便利です。
シューズクローゼットやコート掛けを玄関脇の土間収納に用意してはどうでしょうか。お客様にとっては玄関に見えても、ご家族にとっては勝手口のように自由に使えるスペースが生まれます。ご家族とお客様の「動線」を少しだけずらすことで生活感を感じさせない美しい玄関をキープすることができますので、突然の来客があっても恥ずかしい思いをせずに済みます。
4.土間のデメリットは?どう作れば心配が減る?
土間の機能は生活を豊かにしてくれますが、一方でデメリットもあります。屋内でありながら屋外に近いその特性からくるデメリットはどうすれば解消できるのでしょうか。
4-1.土などの汚れが目立ちやすい
自転車やバイク、ベビーカーを持ち込んだり、ストーブ用の燃料を保管したりできるとても便利な土間には、それ相応の汚れがつきやすい場所でもあります。これを防止するために、床部分を滑りにくいタイル仕上げにしたり、水道水栓や排水設備を設置しておけば、ほうきで掃いたり水で洗い流すことも可能です。
4-2.湿気対策が必要
土間には湿気の問題が生じることがあります。これは、外気に触れる外のサッシと、部屋と土間部分を区切るサッシの間に土間という空間があるというつくりから生じるものです。冬場、屋外の冷たい空気と、室内の暖かい空気がぶつかる部分が土間ですので、ここで結露が生じているような状態が起こるのです。
この湿気の問題を解消するために、壁に調湿効果のある珪藻土等の自然素材を使用することもおすすめです。また、土間部分にも空気の通り道を確保することも大切です。
4-3.冬場、寒くならないようにするために
土間の設置場所や作り方によっては、寒い場所になることがあります。たとえば、家の中を横断する通路のように作る場合や、部屋の床の高さから一段下げるような場合です。
底冷えするような場所となれば、せっかく実用面でのメリットがあっても使いづらい場所となりますので、これを防ぐために床断熱材を導入することで寒さをクリアすることができます。さほど寒くないエリアであれば、しっかりと断熱材を入れることで問題の解消を目指すことも可能です。
【実例紹介】土間のある家の「重量木骨の家」施工例
家の内部にありながら、限りなく外に近い場所である土間は、そのあり方によって暮らし方のバリエーションを豊かにしてくれます。位置やスペースの広さ、使用する材の種類によって様々な楽しみをもたらしてくれる土間の実例をご覧になってください。あなたの希望する生活をイメージさせる土間を発見できることでしょう。