リビングはダイニングとクランクさせた位置に配置して、緩やかに2つの空間を区分けしました。壁を一部、斜めとすることで、区分けの具合を調整しています。中庭に面した大開口からの柔らかな光と、リビング南側に取り付けた地窓からの床面を這うような光が、リビングをしっとりとして上品な空間へと演出しています。テレビを置くためのカウンターは、板先をテーパーに加工することで、十分な強度を持たせながらもシャープな仕上がりとなりました。
敷地は、造成された分譲地の中にある周囲を全て隣家によって囲まれた旗竿地です。
プライバシーの確保の難しい立地条件でしたが、お施主様からは庭木に囲まれ、室内からそれらを眺め、暮らしのなかで季節感を感じられる住まいにしたいというご要望をいただき、それらを両立させる方向で設計がスタートしました。
木々の様子をより身近で感じられるよう、庭空間を分散して配置し、開口部はなるべくカーテンなどの遮蔽物を必要としない空間とするため建物の内側に向かって大きく開く計画としました。
平面的に内部空間と外部空間が織り交ざるLDKは、最小限の床面積でありながらも対角の長い広々とした空間となりました。
中庭を挟んで緩やかに分離したリビングは、天井の高さと仕上げを変えることで、より落ち着いた雰囲気の空間に。背面にはたくさんの書籍を収納できる棚と、その隣りにリーディングスペースを設けました。わずかに屈折させたオリジナルのダイニングテーブル付のキッチンからは、ダイニング、リビング、中庭の様子全体を眺めることができ、ダイニング部分は屈折していることでリビングとダイニングキッチン、2つの空間を繋げています。中庭部分には、大きなウッドデッキがあり、家族でのバーベキューやプール遊び、夜には木々を眺めながらの晩酌を愉しむこともできます。